九寨溝にて涙した。

九寨溝に行ってきた。九寨溝は、バックパッカーを始めた大学生の頃から興味があったところで行けてよかった。バスで10時間、途中で整備はされているが少しガタガタな道を通って行ったので、車酔いしやすい俺は少し辛かった。大学生の頃、九寨溝に行くには今にも落ちそうな崖っぷちの悪路(いわゆるデスロード?)を行かなきゃいけないと言われていて、確かにこの道が舗装されていなかったら相当危ないなとも思いながら行った。当日は生憎の曇りだったが、昼に数十分ほど晴れて綺麗なエメラルドグリーンを見ることが出来たのでまずまずとしよう。

 

でもこのタイトル、九寨溝で感動して泣いたという訳ではない。実はこの九寨溝での思い出は九寨溝自体ではなく、そこで泊まったホステルでのこと。移動で行き帰り1日ずつ取られるので、2泊3日の行程となる。その1泊目の夜に、不思議な出来事と不思議な夢を見た。長時間のバス移動で疲れていたため、ホステルで早めに就寝したのだが、途中何時かは分からないがふと目を覚ました。その時、訳もわからず涙が出てきて、声をあげて泣きそうになった。同室の人がいたので声は押し殺したが、それでも涙が止まらない。何か悲しいことをイメージしている訳でもなく、急に涙が止まらなくなったのだ。もともと涙なんてほとんど流さない人間で、映画とか本で泣いたことはなく、1年に1回泣くことがあれば、今年は泣いたな、と言えるような人間だ。というかむしろ、今まで号泣したのはいつか、というのを明確に言えるレベルで珍しい出来事だ。それだけ、凄まじい感情の変化がないと泣かないのに、この時なぜか止まらないくらい、嗚咽が漏れるほどの号泣が訪れたのだ。

 

そしてもう一つが、その後に見た夢。なぜか現実とかなりリンクしており、俺は世界一周を諦めて日本に帰ってきた設定になっている。その日本で、「なんで俺は帰ってきてしまったんだ、出来ることならあの頃に戻って続けたい、でも過去に戻ることなんて出来ない、なんてことをしてしまったんだ!」とうなだれていた。すごくリアリティーのある夢で、夢の中で夢であってくれと願ったが、これは夢じゃないんだなと諦めている。どうにか過去に戻れないか、と懸命に考えていると、ふと、昨夜九寨溝のホステルで眠りについたことを思い出す。「あれ?これは夢か?」と思うか思わないかの内に、ふと目が覚める。こんな感じで夢の中で今夢を見ていることに気づくことはたまにあるのだが、珍しい上に、このタイミングで随分リアリティのある夢だった。

 

この夢は、自分が旅に疲れて諦めて帰国した場合、かなり後悔するぞということを暗示してくれているのであろうか。そう捉えると分かりやすいが、夢なので分からない。そしてあの突然出た涙は何なのだろう。旅の疲れで心身ともに疲れきっていたところを、九寨溝の寒さ(標高3000mくらいのところにある)で刺激されて涙が出てきたのか、答えは出てこない。むしろ、この答えを求めるのもこの旅の醍醐味になるのかもしれない。

 

一人旅、世界一周旅行。特にここに行きたい、何を見たいとも決めて出てきた訳ではないが、それがために旅の目的を見失い、いろんなことに興味を失うことも多く、自分と向き合い内省的な世界に浸ることも多い。お世辞にも楽しいとは言えないが、これはこれで楽しんでいる、必要としているのではないかなとも思う。この先何を思いながら旅をしていくのか。楽しみでもあり、不安でもある。