旅行でその土地のことを知り得るのか?

成都に着いた。香港から40時間という長距離列車で、車内で2泊するというもの。今思うと、大阪ー上海のフェリーと乗車時間はほぼ同じ。ベッドは喫煙スペースから近く、タバコの臭いはするは、ベッドは一番上でスペースはないわで、とてつもなくキツかった。今後は2泊の移動はなし(だいたい、20時間を超える移動はなし)ということにしようと思う。

 

成都では、とある宿でとある日本人とお会いした。Tさんと呼んでおこう。

彼は旅行者ではなく、東チベット四川省内のチベット民族圏)とチベット自治区をメインに、主に日本人向けに観光業を行っているという。チベット自治区に入るにはパーミッションが必要であり、その取り方とかは色々と面倒のようなので、それのアシスタント、プランの提示をしているとのこと。外人は入るには苦労するところなので、こういう方がいると旅行者にとっては助かる。彼は10年前くらいにチベットを訪れ、ハマってしまいこちらに来たとのこと。

Tさんから色々な話を伺った。チベットの暴動に対して中国が飴と鞭政策を施していること。チベットはそれなりの恩恵を受けているので独立することはないであろうということ。中国−ネパールの国境は地震の影響にて閉鎖されているが、実際は道路建築も完了しており通ろうと思えば通れること。それでも閉鎖しているのは、中国−ネパールを繋ぐ鉄道のためにネパールが大量の森林破壊をする必要があり、それを隠すために入りにくくしているため、かつ、空路のみにすることで中国にもお金が入り一石二鳥だからということ。中国は観光地化することで金になると判断すると保存とかは無視して観光地化するということ。(万里の長城で観光客が主に見るものは建て直されたもの、ラチェンガルゴンパは有名になったがために手が加えられ始めている、など)

さすが、住んでいるとだけあっていろんな情報をお持ちだ。しかしもちろん、これらの話を信じるかどうかはまた別だ。これもあくまで二次情報に過ぎないので現実とは異なっている可能性は大いにある。そして、二次情報だからこそわざわざ中国にまで来なくても知り得たというのも正しい。

 

多くの旅行者(主に長期旅行者、バックパッカー)が海外に行く理由は、話で聞いたことある海外事情、写真で見たことある景色を自分の目で見たい、耳で聞きたい、そういったモチベーションだと思う。でも、ただの旅行者が何を知りうるのだろうか?よく聞く旅行者の話が、イスラム圏の国々に行き、「全然大丈夫だったよー、人も優しいし、全然安全!メディアに騙されちゃダメだよ。」といった話。でも、それでその旅行者はその国の何を知ったことになるのだろうか?メディアがあげるように、そういった国の一部で人が拉致されたり、自爆テロが起きているのも事実だし、旅行者が思うように安全な日常も事実。僕が思うに、結局数日、数週間その国に滞在しただけで、その国のことを分かるなんて不可能だということ。長いこと住み、もちろん現地の言語を使い、その土地で生まれた人と同じようになって始めてその国のことを分かるというもの。旅行者にはそれは到底出来ない。

もし本当に自分の目で、耳でその土地のことを知りたいと思っても、以上のようなことが必要な訳で、短い人間の一生で分かる文化、土地なんて一つか、せいぜい二つだろう。一つもわからずに亡くなっていく場合だってあると思う。だから結局は自分の生活圏以外の土地のことを知ろうと思ったら二次情報に頼らざるを得ない。二次情報を聞いたところでその土地のことを知ったことにはならないのだから、結局は違う土地のことを正確に知りうることなんて出来ないのだ。

 

結局は自分の周りのことしか知ることは出来ない。だから、自分の住むところを決め、周りの人間、環境にしっかりと気を使い、一生懸命生きていく。それが大事なことで、それが定住生活の醍醐味なのかもしれない。つまりは結婚し、安定するということに繋がって来るのだろうか。

30代、40代にもなってふらふらしている人間が多いが、一言言ってあげたい。好奇心旺盛なのもいいが、「灯台下暗し」、自分の身近なことについても、分かっていないんじゃないだろうか、と。

 

自分の旅をしている身で何を言うか、という反論は無しで。